1/9〜10 車を列車で送る

 やっと人間らしい朝を迎え、今日は車を送る手続きだ。

 ピコスと駅にむかい、手続きを頼むが大きな問題が発生。この貨物列車は国をまたぐのでカルネが必要だった。カルネとは車のパスポートのようなもので、日本でJAFに発行してもらったが、レース中は主催者に預けてあったのだ。これがないと国を越えられないか、もしくは莫大な関税がかかってしまう。

 しかし運良く、フランスで1週間分だけ入っていた自動車保険の証書に必要なことが書いてあり、それで代用できた。これでダカールまで運ぶことができる!

 ところが、この作業はまる一日かかる。アフリカの人はなんとのんびりしたものだ。「ちょっと待ってろ」といって2時間で戻ればいい方で、これから先もそうだが1日待つはめになることもしばしば。しかも2つの仕事を同時にできない。また、誰も怒らない。

 あまり待つ時間が多いので、食事に出かけると中華料理屋を見つけた。中国人はすごいもので世界中どこにでも進出している。地元では高級のようだが、日本円にしたら安い。久々のちゃんとした料理と期待していくと、そこに日本人の客がいた。

 高桑さんといってアフリカ中ののミュージシャンを写真に収めているプロのカメラマンの人だ。アフリカには何回も来ていて、いろんな知恵を持っていた。
 はじめこんなところで日本人と会いたくない、と言った感じだったが、パリダカの話をするととても親切に席を共にしてくれ、お互いの話で盛り上がった。
 最後には、今日は自分の泊まっているホテルに泊まりに来なさいと行ってくれ、思わず甘えておじゃますることになった。

 ホテルは、バマコ一の高級ホテルで、客のほとんどはフランス人。まずはプールに浸かってこようと、水に飛び込む。昨日水浴びもよかったが、プールでは全身から水分を吸収している感じがした。
その後、部屋で暖かいお風呂に浸からせてもらい、もう極楽気分。
ゆっくり浸かり、体を洗う。まだまだ茶色い汚れが落ちる。なんと汚れていたのだろう。

 夕食は、高桑さんが見つけた肉の丸焼きの店や、露店などに連れていってもらった。露店のフルーツや食べ物はとても安い。オレンジ5個で50円ほどだ。

 夜は部屋でフルーツ、お菓子、お酒で話が盛り上がった。しかも高桑さんはアフリカ音楽に詳しく、色々なカッセトで説明してくれた。その後、ライブに行こうと突然タクシーでライブハウス(と言っても野外ステージ)に向かったが、基本的に週末しかやっておらず、一杯飲んで帰ってきた。しかし、現地のライブはすごいらしい。一回言ったらはまる、また来たくなるそうだ。

 明日は、車が出発だ。疲れもたまっていたのでそうそうに寝ることにした。エキストラベットを用意してくれ、久しぶりにベッドで寝る。

1/10 

 気持ちいいホテルでの目覚め。午前中で高桑さんはダカールに帰ると言うことでホテルでお別れ。このご恩は忘れません。

 駅に向かい、手続きの続き。するとこの車は2t以上あるから高くなると言われた。エンジンがかからないため手で押して貨車に乗せようとしたら重くてわかったらしい。実際には3t以上あるが。昨日の値段は500000セファー(10万円)だったのを750000(15万円)にされた。

 もう一つ問題。この車には1人は一緒に乗っていかないといけないらしい。しかし、4日間この暑さの中をバケットシートに揺られていくのはもうこりごりだと、代わりを頼むことにした。この値段交渉がまた大変だったが、「これ以上かかるならこの全ての契約はなしにする」と言い張ったら750000セファーの中で終わらした。
 結局はこの値段でも現地からしたらものすごい儲けなのだろう。ただし、自分たちの乗るエクスプレス(ダカールまで1泊2日)のチケットは自分で買うことになった。片道一人1万5千円ほど(寝台車)

 値段交渉も、手続きも終わると、喧嘩相手も友情に変わり、市内観光に連れていってくれた。特に観光ポイントはないが、記念碑やモスクなどを案内してくれ、彼らにとっては最高のもてなしをしてくれたのだろう。いろいろ手伝ってくれた人に来て汚れたTシャツや車に積んであった、もういらないものをあげたら喜んでいた。

 特にピコスと、英語の通訳をしてくれたイサ、お付き役のガオスは夜、中華料理に招待した。ブルキナファソから5日歩いて仕事を探しに来たイサと家族4人で仕事がないので何か仕事はないかと言ってくるガオスはこんな高級料理店に入ったのは初めてで、感動していた。
店の人もびっくりしていたが。

 その後、また親戚や友人宅に連れていったり、ここはどうだと娼婦街に行ったりと、いろいろと連れていってくれた。しかしこっちはもう疲れていたので「帰ろう」と言うと、少し寂しそうだったが家に帰った。今日は2人目のワイフの家だ。

 このあたりの国では一夫多妻制で法律で4人までと決められているところもあるが、結局それだけを養える豊かさがないといけないらしい。また、曜日によって帰る先が決まっているらしく、その奥さん同士は絶対会わないらしい。

 明日は電車で発つ。バマコもこの人達もこれでお別れかと思うとなんか寂しい。またゆっくり来たいものだ。